“洋ゲー指数”の高い単語

Bonjour!
Yoshino Tradのアントニーです。

記念すべき第10回目は第5回目でゲストとして登場してくださった翻訳者の羽無エラーさんのアーティカル第2弾です。今回もゲーム翻訳について、とてもわかりやすく語ってくださっています。ゲーム翻訳をやっている人はもちろんのこと、ゲーマーも他分野の翻訳者も「ほーほー!」と声が出ますよ~!たくさんのコメントをよろしくお願いします!Voilà!

こんにちは。羽無エラーです。

今回は、日本で開発されたゲーム、いわゆる「和ゲー」と、海外で開発されたゲーム、いわゆる「洋ゲー」の違いについて少しお話ししようかと思います。

和ゲーと洋ゲーの違いというのは、両者を比較する上でよく言及される点です。和ゲーの主人公は中性的なイケメンが多いのに対し洋ゲーの主人公はマッチョな兄貴系男子が多いとか、和ゲーのシナリオは一本道だけど洋ゲーのストーリーは自由度が高めだとか、和ゲーの世界観はファンタジックなものが多いけど洋ゲーは現実世界を舞台にした作品が主流であるとか。恐らくテレビゲームに精通している方であれば、洋ゲーをある程度遊べば、たとえ日本語にローカライズされた作品であっても、それが洋ゲーであることは容易に判別できるのではないでしょうか?

しかし私は、洋ゲーの翻訳という仕事を続けているうちに、ゲームを実際に遊ばずして洋ゲーであることを見分けるポイントを発見しました。それはずばり「メインメニュー内で使われる単語」です。

というわけで、洋ゲーのメインメニューに特有の単語というのをここでいくつか紹介したいと思います。それぞれの単語には、私の独断で算出した“洋ゲー指数”を添えておきました。この指数が高いほど、その単語が使われているゲームが洋ゲーである可能性が高いということになります。

(1) 「ニューゲーム」(New Game) 洋ゲー指数:65
物語の冒頭からゲームを始める際に選ぶ項目です。洋ゲーでは「ニューゲーム」(New Game)という名称になっていることが多いですね。和ゲーでは「はじめから」や「最初から」辺りをよく見かけますが、特に一般的な呼び名というのはなく、ゲームによってさまざまです。「ニューゲーム」という単語がメインメニュー内に存在したら、そのゲームは65%の確率で洋ゲーです!

(2) 「○○へようこそ」(Welcome to ○○) 洋ゲー指数:70
○○の部分にはタイトル名が入ります。ゲーム内だけでなく説明書や公式サイトなどでもよく見かけますね。「○○へようこそ」と言う場合、日本人の感覚だと○○には地名が入るのが普通であるため、和ゲーでこのフレーズが使われることはほとんどありません。洋ゲー特有の文言です。

(3) 「オーディオ/ビジュアル」(Audio/Visual) 洋ゲー指数:75
はい、これも洋ゲー指数の高い単語です。和ゲーでは「オーディオ」ではなく「サウンド」、「ビジュアル」ではなく「グラフィック」「画面設定」などと名付けられていることが多いです。

(4) 「クレジット」(Credits) 洋ゲー指数:80
メインメニュー内にこれが含まれている場合、かなりの高確率で洋ゲーです。和ゲーのクレジットは普通、ゲームのクリア後にしか見られませんし、何より、「クレジット」ではなく「スタッフロール」という呼称の方が一般的ですしね。

(5) 「シングルプレイヤー/マルチプレイヤー」(Singleplayer/Multiplayer) 洋ゲー指数:90
語尾の「ヤー」の有無がキモです。「シングルプレイ/マルチプレイ」ならば和ゲーでも使われるのですが、「ヤー」が付いていれば、ほぼ確実に洋ゲーであると言っても過言ではありません。ただ、まれに和ゲーでも「ヤー」が付いている場合があるので、洋ゲー指数は90に留めておきました。和ゲーでは、他にも「ひとりで遊ぶ」「協力対戦」など日本語で表す場合も多いですよね。

(6) 「SFX」 洋ゲー指数:100
効果音の有無やボリュームを変更する項目です。この「SFX」という単語は、私は今まで洋ゲーでしかお目にかかったことがありません。SFXはSound Effectsの略ですが、日本では頭文字を取って「SE」と略すのが普通であり、ゲームの世界でも「SE」か、もしくは「効果音」と表す場合がほとんどです。もし和ゲーのメニュー内で「SFX」という項目を見かけたら、ぜひ教えてください。洋ゲー指数を99に下方修正します(笑)。

てなわけで今回は、「メインメニュー内で見る“洋ゲー指数”の高い単語」を取り上げてみました。日本の開発者の方々も、これらの用語をメニュー内に盛り込めば、そのゲームに洋ゲーっぽさが宿ること間違いなしです!(たぶん…)

この他にも、和ゲーと洋ゲーを見分けるポイントをご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント欄などでお知らせいただけると幸いです。ではでは!

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